2017年4月21日金曜日

責任を転嫁する人たち(その2)

私が旅行会社に提示した100頁以上もある資料は、正しく旅行会社の顧問弁護士の手に渡った。そして、その資料をもとに、旅行会社は保険会社に対して、保険金の支払いをすべきではないかという意見書を保険会社に提示してくれていた。

この事実は、私は後から知ったのだか、旅行会社と保険会社は調整をしてくれていた。このことは、旅行会社の顧問弁護士に感謝はしている。

しかしながら、最終的な結論は、私を落胆させるのに十分であった。保険会社の主張は、次のものであった。

  • サウナで起こった事故であり、急激性の要件を満たさないという理由だけで支払いを拒否することはできない。
  • 自殺は否定されるから、偶然性の要件を欠くことを理由にすることはできない
  • 訴訟となれば「熱」は、外来の要件を満たすことが考えられるから、これらを理由に支払いを拒否することができない。
  • なので、これらの要件を理由に支払い拒否はできないが、そもそも、「事故」と呼ばれるような事が発生したのかがポイントであり、今回は「事故」が発生していないから支払いをしなくてもよいとも考えられる。
この内容は、保険会社の顧問弁護士が、保険会社に対して、支払わない理由を法律的に後付けで説明する際に、どういう説明をすればいいのかを文字通り「弁護」したものであって、本来、どうするべきかを考えたものではない。これを消費者に押し付けるのだから、消費者はたまったものではない。


いろいろな本を読んでわかったことだが、保険会社は、保険金をいかに支払わないかが会社の利益となる。もちろん不当な要求に対して、保険金を支払う必要はないが、保険会社は、できるだけ払わないようにする。そして、もしその不払いに対して問題があるならば、「どうぞ訴えてください」という事を示すことが多いようだ。それで納得いかない消費者は、訴訟をするが、通常は「訴訟なんて・・・」と思う人が多いので、結局は泣き寝入りをすることとなる。だから、私は戦うことを選んだ。


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2017年4月19日水曜日

責任を転嫁する人たち(その1)

責任を転嫁する。そんな無責任なことがあるだろうかと思うけれども、何気ないところでそれは発生していることがわかった。私は、この事故に対して、不当な扱いを受けていると思っていた。誰かに相談したら、誰かが助けてくれるだろう、あるいは、誰かが助言をして正しい方向に補正してくれるかもしれないと期待していた。

私は、旅行会社が支払わないことに対して、旅行系の相談窓口である某財団法人の相談窓口に連絡をして相談をした。しかしながら回答は、「旅行会社の顧問弁護士が対応しているのであれば対応はできない」というものであった。

それならばと、旅行業界がだめならば、保険金不払いということで、金融庁の保険金窓口に問い合わせを実施した。相談窓口では、不払いという事案で問い合わせがあったことは受け付け、保険会社側に連携をするが、この窓口で直接回答をすることができない。保険会社側から直接連絡をさせるという話があった。しかしながら、後の裁判で判明するのだが、保険会社が金融庁から連絡を受けていたことは認めていたものの、個別事案だから回答の必要性の有無は保険会社と金融庁でうやむやにされた事がわかった。また、本件は不払いではないという説明をしておわってしまったようだった。

これでは、一消費者は、泣き寝入りをするしかなくなってくる。私は虚しさを感じざるを得なかった。なぜならば、旅行業界の相談窓口は、旅行業界と密接に関連している。保険業界もそうだ。いくら問い合わせをしても、業界に都合がわるいことであれば無視されるようになっているのではないかと疑いがでてきたからだ。


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2017年4月17日月曜日

企業は、いかにして判断をあやまるのか? (その3)

私は、納得がいかないものは、納得がいかない。泣き寝入りするつもりもない。でも、私の主張が正しいかを論理的に説明しなければ、誰も取り合わない。なので100頁以上にわたる説明資料を、旅行会社の担当の支店長に提示し説明をした。


  • 過度の温度による暴露は、気候による熱中症とは扱いがことなる
  • 死亡診断書では、外因死となっており疾病ではない
  • 高裁の判決でも、過度の温度の暴露で、不慮の事故として認められているものもある
  • サウナ内で倒れ、3度の熱傷を被るには、50度の床に数分設置する必要がある。
  • 意識を失ったから、その熱傷を被ったと考えられる。
  • 外的要因は、単なる怪我でなくても、「熱」も外的要因となる。
  • 意識消失しお風呂場で溺死した場合も、不慮の事故と認められている。
  • 他保険会社2社も、不慮の事故として認めている。

これらの説明資料は、私としては、企業の判断を覆すに十分であるものだと思っていた。そして、旅行会社は、この資料を預かり再度内容を確認するとした。しかし、この後、旅行会社の支店長から受けた説明は、「会社から本件に関しては一切関知するな。窓口はすべて顧問弁護士が対応すると説明をしろと言われ対応ができなくなった」というものであった。

ここでも、企業は誤りを犯したのだ。法的な専門家が、法的に取り扱うことは適切である。しかし、この顧問弁護士は、その会社の社員ではない。その会社のコンプライアンスや企業理念を理解しているわけではない。単に、法律的な対応しかしないのだ。これは、私からすると、クレーマーに仕立てられたと受け取るのに十分な対応であった。たとえ、そのつもりが、企業になかったとしてもだ。

この時点で、企業の自助努力による正しい情報の補正はなくなり、あくまでも自社が提示した「特別補償の適用はしない」というレターに対する顧客への最後通告がいかに正しいかを主張することに終始していくことになったのである。


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2017年4月14日金曜日

企業は、いかにして判断をあやまるのか? (その2)

今回、保険金が支払われない理由に関して、納得がいかなかった。いや、保険金が支払われないというよりも、契約事項を正しく処理をしない、企業として一消費者を適当にあしらえば、それ以上のことは起こらないと考えているように見えたからである。

旅行約款に記載された事項は、企業と消費者の契約条件であり、履行義務がある。もし、条件に該当しないならば、きちんと説明をすべきだ。

私は、旅行会社に対して、適切に判断してもらうために、いろいろな情報を提供したが、結果、1通の手紙が送られてきた。それは、旅行会社として、特別補償の支払いを適用することができないということであった。しかし、この伝え方が第2の誤りである。

この手紙は、私宛に送付されてきたのでない。父を失い悲しみくれている母にいきなり送付されてきたのだ。私は、旅行会社には、すべての窓口が私になっているので、私とやり取りをしてほしいことを伝えていた。それは、母としては、一緒に旅行をしていた中で、突然、父を失ったから、それは筆舌に尽くし難い悲しみがあることがわかっていたからである。母あてに無機質な1通の事務手続きの手紙が送付されてきたのは、遺族の感情を逆なでするのに十分すぎるものであった。

この手紙に、保険金は支払えないことは書いてあるものの、その理由は全くナンセンスなものであった。その内容とは、「転倒で怪我をしているわけではない。脳・循環器の疾病は否定的」なので、支払えないというものであった。

これは、当事者の私だけがおかしいと思うわけではない。普通ならば、旅行約款のXXXに該当しないから支払えないと説明するべきなのに、そんなことは一切ない。書いてあるのは、「転倒していないから払えない」という内容だけである。これを正式な会社の書類として、一消費者へ回答するのは、普通に考えてあり得ないことである。単に、保険会社の調査内容を参照しただけであり、そこに全く説明もない。

これは、旅行会社として、ツアー中に人がなくなった事を「当事者」として、捉えていないことが根本的な過ちであり、これをそのまま消費者に押し付ける姿勢が企業の誤りである。



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2017年4月12日水曜日

企業は、いかにして判断をあやまるのか? (その1)

保険会社も、旅行会社も、正しく手続きをするために、第三者機関による事故調査を実施していることが後に判明した。私は、その資料を裁判の結果、入手することとなったのだが、その資料にはどこにも「病気」で死亡したとは書かれていなかった。

つまり、この保険調査資料を読んだだけでは、保険金の支払い対象の案件なのか、違うのかはわからないのである。これはとりもなおさず、この調査資料を読んだ担当の人が、保険金を請求する事案ではないと「判断」し、それを保険会社として、旅行会社へ伝達することに他ならない。

しかし、この「判断」には、一定の意思決定プロセスがあるはずである。一担当者が独断と保険金を支払う、支払わないを決めるのは、それこそコンプライアンスに違反する。だから、企業の活動を考えると、決裁権限をもとに、支払いの妥当性を確認し案件の扱いを取り決めるのである。

ここが企業の判断における盲点である。正しい判断を正しくするためには、正しい情報をもとに正しく見極める必要がある。この事故の場合、「熱中症」という言葉と「転倒による外傷はなし」という言葉だけを要約して決裁を仰いだとしたならば、「病死」として判断するであろう。決裁者は、1案件だけを見ているわけではない。それも昔のように紙で認証をしているわけではなく、パソコンの画面で認証をしていることを考えると、現場のあやまった判断のまま、そのまま認証をしてしまうことがあるのではないか感じた。

これが、第一の企業の判断ミスである。

もし、ここに「サウナ内で倒れた。普通の熱中症と同列に論じてはならない」というストッパーが働ければ、この時点で判断が変わったのかもしれないが、これらのストッパーの機能は働かなかった。


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2017年4月10日月曜日

死亡診断書の記載マニュアル

実は1点、死亡診断書出来をつけなければならないことがある。それは、死因についてである。死亡診断書は、通常、死を見届けた医師が記載するものである。しかしながら、その死亡診断書を書く医師が、担当医とは限らないのである。

死亡したときは、遺族はしっかりと死亡診断書の記載を確認すべきである。私の父は、たまたま当直の医師が死亡診断書を記載した。そのとき、「死因:不詳」と書かれた。私は、担当の看護婦に、「この不詳はおかしいのではないか?」と確認したが、「先生が書かれたものなので大丈夫だと思う」とのことだった。

その時は、なくなった直後であり、霊柩車の手配やら葬儀の手配やらをしなければならなかったため、そのまま受け入れてしまったが、後日、担当医に最終的に確認をし、死亡診断書を正しく書き直してもらった。医師も「外因死ー熱中症による多臓器不全」であることを認めた。役所にも、訂正された内容で再度届け出をし受け入れてもらった。

私も調べたのだが、死亡診断書には、厚生労働省が出している記載マニュアルというものが存在する。そこには、死因を統計学的に正しく把握するための分類があることがわかった。この分類が、保険の支払いの区分に利用されていることもわかった。

そして、今回のサウナで死亡したことは、「過度の高温への暴露」という取り扱いであることもわかった。これは、「気象条件による高温への暴露」とは異なることもわかった。つまり、「通常の熱中症」と「サウナでの熱中症」は当然扱いがことなるのである。

つまり、「通常の熱中症」による死亡は疾病による「内因死」であり、それ以外の熱中症は「外因死」であるのだ。しかし、この事を保険会社も旅行会社も正しく理解せずに、一律、「熱中症=病気」と片付けたのである。

ここが、大きな企業としての判断ミスである。




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2017年4月7日金曜日

熱中症は病気なのか?

父は、サウナ内で閉じ込められて熱中症を発症し、結果的に死亡した。

この「熱中症」というのが、今回の保険金支払いに関する争点である。この熱中症は、通常の気象条件で発生した場合は、一般的には「病気」として扱われる。それは、炎天下で熱ければ、日陰に入ればいいし、水を飲めばいい、そういう回避を怠っていると、徐々に水分が失われ熱中症となり、脱水症状が進み、目眩がおこったり、吐き気がしたりする。

父も医師の最終的な死因としては、「熱中症」による「多臓器不全」であった。ただ、父の場合は、サウナの中でこの状況が短時間で進行したのである。

顔面や背中には、皮膚移植が必要となるくらいの3度の熱傷(火傷)があった。つまり、床や壁にずっと倒れていたことが推測される状況であった。また、サウナ内は90度であるため、気持ち悪いなどサウナ内で体の異変を感じれば、すぐに退室するであろう。しかし、床に倒れた状態で発見された。

ここから考えると、サウナ入浴時間として5分くらいして退室しようとしたところ、立ち上がり、そのまま立ちくらみをし意識が遠のいてしまった。その結果、サウナ内に15分以上閉じ込められ、結果的にサウナという高温環境で熱中症が進行し、死亡に至ったことが考えられる。

旅行会社が契約している保険会社の調査結果にも、「医師のヒアリングから、サウナ内で熱中症が発生した原因は、起立性低血圧などによる意識消失の可能性が高い。また、脳・循環器系の疾患は否定的。死因は外因死」とあった。これは明らかに、病気が原因ではない。

しかし、保険会社と旅行会社は、「熱中症=疾病」という考えがあるので、疾病であるため、不慮の事故ではないと判断したのだ。これは、素人である私にとっても、かなりの違和感を覚えた。

私は、この不合理な判断が、某旅行会社のこれまでの対応とあわさって、本格的に自分でどういう事なのかを解明しようとおもったきっかけとなった。


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2017年4月5日水曜日

不慮の事故とは

そもそも、旅行約款にもある不慮の事故とは何のであろうか?

私は、父が亡くなった後、死亡診断書をもらい、葬儀の手配をし、埋葬手続きなどをするとともに、いろいろな事務手続きに追われた。役所への死亡届、社会保険庁の年金に関わる手続き、その他にも、料金の支払者の変更、そして保険金の請求なども実施した。

世帯主がなくなるというのは、予想以上に対応するべきことがあり、日々、いろいろな事を調べながら対応する必要があった。そんななか、保険会社への死亡手続きは、どの会社も、残された遺族への感情を配慮し、とても丁寧でこちらを気遣う対応をしていただいた。

やはり、死亡保険金の請求は、手続きとはいえ、そこには遺族の悲しい気持ちがある。それを配慮することは、企業として当然であり教育が行き届いていたのを覚えている。

これは、某旅行会社とは大きくことなるものであった。やはり、旅行中に亡くなることは想定外のことなので、そういった対応は企業としてはなされていないのだろうと思う。

さて、そもそもの「保険金」であるが、一般的に保険に入るのは、病気に備えてであると思う。その結果、亡くなった場合に、約款に従い保険金が支払われる。保険にもよるのかもしれないが、「病死」と「事故死」では、取り扱いが異なる。事故の場合は、「災害保険特約」というものが適用され、若干の保険金の上積みがある。

その「災害保険特約」とは、「不慮の事故」を想定したものである。この不慮の事故とは、非常に素人にはわかりづらいものであるが、「急激・外来・偶然」に発生する事故を不慮の事故と呼ぶ。

父は、県民共済と某保険会社に少額の保険をかけていたが、どちらも死亡した時の状況(保険会社のリサーチ)と、死亡診断書から、「不慮の事故」として判断して保険金の適用がなされた。

しかし、旅行中になくなったにもかかわらず、某旅行会社からは「不慮の事故ではない」とのことで支払いを拒絶されたのである。それも正当な理由がない状態であった。



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2017年4月3日月曜日

事故発生と旅行会社の対応

事故が発生した事自体は、旅行会社の責任ではない。ただし、事故が発生した事に対して、それを正しく取り扱うことは、旅行会社に求められることである。今回、遺族となった私にとっては、旅行会社の対応は、結果的に不信感をともなうものとなってしまった。

遺族としては、「父が死亡した」という大きな問題である。しかし、企業にとっては、「企画したツアーの参加者が、たまたまなくなった。病気だ。」という思いの違いである。そこに、サウナに閉じ込められて、ICUに救急搬送されて、ひどい状態でなくなったという事実はかき消されていった。

遺族である私は、旅行会社に対して、特別補償の説明を求めたが、旅行会社の対応は、あまり感じのいいものではなかった。(具体的に書きたいが、名誉棄損と言われるので控える)

そして、最終的に言われたことは、「転倒とかで怪我をしたわけではないので払えないみたいです」というわけのわからない回答であった。

私の心中としては、「いや、いや、そもそもサウナで閉じ込められ死亡してるんですけど・・・」という思いであった。


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